だいぶ前の話になりますが、広島県呉市の名所「音戸の瀬戸」に架かる音戸大橋（1961年開通）の交通量緩和のため、新たに第二音戸大橋を架橋することとなり、中央部分の一括架橋が深田サルベージの起重機船「武蔵」によって行われました。
この日の作業は、地元・呉市で大々的に周知されており、早朝にも関わらず多くの住民の方々が、第二音戸大橋へ接続する工事中のバイパス路に集まり、このように作業を見守りました。
瀬戸内の港町らしい、この密集度の高い住宅街のど真ん中で、巨大な起重機船が、これまた巨大な橋を一気に吊り上げます。そりゃあ、船を見慣れてる呉市民だって大興奮です。
対岸（倉橋島側）の法面にも、たくさんの人が見物しています。この日は日曜日だったので、お子さんの姿も多かったです。
まるでゴジラの活躍を見守っているような雰囲気。
そりゃあ、地元でこんなスペクタクルなことがあるなら、早起きしてでも来ちゃいますよね。しかも、赤い起重機船に赤い橋、青い海と青い空。どこを切り取っても絵になる時間です。
これ、まだ朝7時前なんですけど、このお祭り騒ぎです。プチご当地グルメ大会の様相です。
ちょっとした名物となっているらしい呉のうどん、美味しゅうございました。起重機船を眺めながらいただくモーニングは格別です。
こちらは50年前に架橋された初代の音戸大橋です。両端には花々が植えられていて、橋自体が観光地という感じもしますが、車の数を見ていただければわかる通り、たいへん交通量の多い生活道路です。
音戸の瀬戸を航行する船も大変多く、橋桁にも高さが求められたため、音戸大橋の両端はループとなって高さを稼いでいます。第二音戸大橋はループの遥か手前から新たに造られたバイパスで山を登り、減速することなく海峡を越えられるようになりました。
もうひとつの生活路線が、日本一短い海上航路といわれる「音戸渡船」です。立派な橋が2本架かるとはいえ、あくまで主体は自動車であり、高い場所に架かる橋まで上るのも一苦労であるため、2014年現在も現役で運行されています。
この日は工事現場を間近で見ようとする人たちが多かったため、ほぼピストン輸送で呉市本土と倉橋島の間を往復していました。それにしても古めかしい船です。
巨人と小人。
集落の間から顔を覗かせる巨人。
陽もだいぶ上がってきて、もうそろそろ接合です。
倉橋島側のバイパス建設現場も、あとはアスファルトを待つのみといった感じでした。
音戸大橋を走るバス車内から見る「武蔵」と第二音戸大橋。開通した現在でも、路線バスは初代の橋を走っているそうです。
余談ですが、帰路のJR呉線車内から深田サルベージの「駿河」を見かけました。瀬戸内は起重機船が身近で実にいいなぁ…。うらやましいったらないです。