寒冷地域以外の児童・生徒が宿題に追われて大変なことになっていたであろう8月31日、曇天の千葉港では予定より1日遅れてのJFE千葉へのアンローダー曳航・据付作業が行われました。
と、その前日、神奈川県横須賀市の長浦港で出番を待つ「富士」の姿も見てきました(ちょっと今回は長いです)。
古くから軍港として栄えた横須賀ですが、長浦港もご多分に漏れず、そこらじゅうに海軍時代からの施設が残っていて、適当に歩いているだけでも、いろんな発見があります。
東邦化学工業の追浜工場は、海軍関係と思しき重厚な雰囲気の施設が多数残っています(実際に東邦化学がここで操業し始めたのは戦後になるようですが)。
東京湾の航行の障害物となっていた第三海堡が、岸壁の近くに保存されています。
設置されている案内板(だいぶ前から更新されてないようですが…)を見ると、「富士」が現地から吊り上げて、ここまで持ってきたようです。
さて、海堡を持ってきたその「富士」は、保存場所の目の前に鎮座していました。近くには釣り人の姿も多く見受けられましたが、あまり「富士」には関心がない様子。日米その他様々な船舶が往来する三浦半島周辺では、このくらいの起重機船では、あまり驚かないのでしょうか…。
「富士」を動かすのは、いつもお馴染みの第23たけ丸、第82たけ丸、そして深田サルベージの昇陽丸です。たけ丸は大阪の武丸海運の所属船舶だそうですが、よく見ると船体に深田サルベージの社名が入ってます。ほぼ起重機船専業ということでしょうか。
ちなみに、長浦には深田サルベージの横須賀基地があり、 このか細いジブを持った「第123号」と、
旋回式の「ゆうづき」が係留されています。なんか、くたびれた雰囲気を漂わせてますね…。
AIS情報によれば、「富士」はこの後18時頃に長浦を出発し、千葉港に向けて曳航されていきました。
まだ続きます。
8月31日朝10時の千葉港・出洲埠頭。重たい雲が覆うあやしい空模様となり、更には海の色が南国でもないのにエメラルドブルー。漂う香りは草津の湯畑。ケミカルな雰囲気満載の舞台で、「富士」は作業をすることとなりました。
既に「富士」の姿が見えていますが、あそこがスタート地点の三井造船です。そして、2機並んだアンローダーの左端に、真新しい機体を持ってくることになります。
巨大なアンローダーを吊り、ゆっくりと進入してきます。
千葉港遊覧船の「あるめりあ」と接近。今日のお客さんは運がいい。
真横からの雄姿。アンローダーはピカピカです。
アンローダーにはたくさんの階段・通路が見受けられます。
動いているのかわからないほどの慎重で、そろりそろりと指定の位置に据え付けられていきます。ほとんど見えませんが、アンローダーの下には大勢の関係者が集まって、作業を見守っていました。
最後まで見ることはできませんでしたが、今回も作業経過をタイムラプス動画として撮影しましたので、ぜひご覧ください。
ちなみに、翌9月1日には、新設アンローダーを含めた3機のうち、真ん中のアンローダーの撤去作業が「富士」によって行われました。今後、JFEの敷地内にて解体されるようです。